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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 11:43 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<はじめに>

パーシャル コヒーレント像解析は、インコヒーレント、コヒーレント、パーシャルコヒーレントという3つのタイプの伝達関数を用いて実行することができます。
インコヒーレントな伝達関数を用いて回折像を作り出すと、回折効果は明らかになりますが、光源上の各点は他の全ての点に対してインコヒーレントであるとみなされます。
そのようなものとして、空間的干渉効果は無視されます。
コヒーレントな伝達関数を使う場合、光源上の各点はその他全ての点に対してコヒーレントです。

パーシャルコヒーレンスに関しては、状況がより複雑になります。
パーシャルコヒーレントな伝達関数を用いる場合、光源上の各点はその他の点それぞれに対して異なるレベルのコヒーレンスを有します。
点と点のコヒーレンスの度合は、パラメトリック関数に依存します。
一般的に、二つの点が近ければ近いほど、よりコヒーレントになります。

パーシャルコヒーレントな伝達関数は、実在する光源の多くに適しています。
たとえば、フォトリソグラフィーの用途では、利用される標準的な光源は完全なコヒーレントではありません。
ウエハー上にマークを結像する際にパーシャルコヒーレンス効果はとても重要です。

→このトピックの最後に添付されているファイル“Partial_Start.zip”をダウンロードしてください。

zipファイルのダウンロード後、任意のディレクトリで解凍してください。
BAR.IMAファイルをZEMAXフォルダの/IMAFilesディレクトリにコピーしてください。
そして、ZEMAXファイル“Partial_Start.ZMX”を開いてください。
これはクック・トリプレットの写真レンズ設定で、軸上の光を検討します。

添付ファイル:
Cooke.gif
Cooke.gif [ 6.14 KiB | 表示回数: 1399 回 ]






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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 11:49 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<パーシャルコヒーレンスの度合の定義>

ZEMAXでは、パラメトリック関数のガンマを使ってパーシャルコヒーレント伝達関数の特性を示します。
特定の解析に利用するガンマ関数は、ガウシアンもしくはシンクの2タイプのうちどちらかから選びます。
(ご要望により他のタイプを追加することは可能です。)

添付ファイル:
Gamma.gif
Gamma.gif [ 2.98 KiB | 表示回数: 1391 回 ]


ガウシアンガンマ関数では、位置ベクトル「r」は表示された像の2点間の距離を示します。

どちらの関数においても、パラメータ「α(アルファ)」はレンズユニットで定義されたスケーリングパラメータです。
このパラメータはガンマ関数の有効幅を設定します。
このアルファが小さければ小さいほど結果として生じるガンマ関数は狭くなります。
狭いガンマ関数はパーシャル コヒーレント像、つまり大部分においてインコヒーレントな像を作り出します。

一方、より大きなアルファ値は比較的幅広いガンマ関数を作り出します。
広いガンマ関数はコヒーレント像に類似するパーシャル コヒーレント像を作り出します。

メニューオプションから、Analysis > Image Simulation > Partially Coherent Image Analysisを開き、以下のようにオプションを変更してください。

■「File Size」を「0.1」に
■「Oversampling」を「16X」に
■「File」を「BAR.IMA」に
■「Date Type」を「Partially Coherent Test: Gamma」に
■「Alpha」を「0.0025」に

アルファ値が0.0025の時、結果として生じるガンマ関数は比較的狭く、ほぼインコヒーレントであるパーシャル コヒーレント像を作り出します。

添付ファイル:
Narrow%20Gamma.gif
Narrow%20Gamma.gif [ 12.51 KiB | 表示回数: 1393 回 ]


ここで、Settingダイアログを開き、「Alpha」を0.1に変更します。
すると、アルファは増加し、対応するガンマ関数はかなり広くなります。
そして、ほぼコヒーレントであるパーシャル コヒーレント像を作り出します。

添付ファイル:
Wide%20Gamma.gif
Wide%20Gamma.gif [ 21.07 KiB | 表示回数: 1388 回 ]



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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 11:55 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<パーシャルコヒーレント伝達関数の計算方法>

パーシャル コヒーレント像解析のパーシャルコヒーレントな伝達関数を利用する場合、Mostly Coherent手法とMostly Incoherent手法のふたつの計算方法があります。
どちらを利用すべきかは、お使いのガンマ関数の広さで決まります。

狭いガンマ関数(すなわち全体像の20%以下から成るガンマ関数)は空間領域において狭くなります。
よって、空間周波数領域では広くなります。
これらのガンマ関数のタイプにおいては、空間領域にてパーシャル コヒーレント像解析を計算する方がより効率的です。
Mostly Incoherentの計算アルゴリズムはこれらの狭いガンマ関数のために設計されています。
その結果、この方法を用いた計算は空間領域にて行われます。

一方、広いガンマ関数(すなわち全体像の20%以上から成るガンマ関数)は空間領域において広くなります。
従って、空間周波数領域では狭くなります。
そのため、これらのガンマ関数のタイプにおいては、空間周波数領域で解析計算を行う方が効率的です。
Mostly Coherentのアルゴリズムは、このような広いガンマ関数のために設計されています。
このアルゴリズムでは、計算はより効率的な空間周波数領域で行われます。

広いガンマ関数のためにMostly Incoherent手法(もしくは、反対に狭いガンマ関数のためにMostly Coherent手法)を利用する場合、よくても長時間の計算を要します。
それどころかサンプリングが不十分なため計算を完了できない場合があります。
よって、前のページでも説明しましたように、どの計算方法を利用すべきかを判断するために、お使いのガンマ関数を想定することが常に重要となります。

要約すると、

<Mostly Incoherent手法を使う場合>
・アルファが小さい
・ガンマが狭い(像の20%以下)

<Mostly Coherent手法を使う場合>
・アルファが大きい
・ガンマが広い(像の20%以上)

もうひとつの重要な関連パラメータとして、フラクション(比率)パラメータがあります。
Mostly Incoherent手法とMostly Coherent手法のどちらも、ガンマ関数が有限の幅であるという前提でパーシャル コヒーレント像解析の計算をスピードアップさせます。
(実際にはガンマ関数とシンク関数は有限な範囲を有します。)
この幅はフラクション(比率)設定を通じてコントロールすることができます。
このパラメータは考慮すべきガンマの総エネルギーの比率を設定します。
一般的に、ガウス関数とシンク関数の漸近性質を考慮すると、0.96より大きい比率値はパーシャル コヒーレント像解析の計算スピードを著しく遅くします。



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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 11:59 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<インコヒーレント/コヒーレント解析の実行>

Partially Coherent Image AnalysisウィンドウのSettingを開き、「Data Type」を「Raw Image (no Diffraction)」に変更してください。
これにより、クック・トリプレットを通じて結像する光源である3つの棒状のターゲットが表示されます。
いかなるIMAファイルも基本的に使用できます。

添付ファイル:
Raw%20Image%20Bars.gif
Raw%20Image%20Bars.gif [ 11.86 KiB | 表示回数: 1378 回 ]


次に、この光源の完全にインコヒーレントな像と完全にコヒーレントな像の両極を見てみましょう。
まず、「Data Type」を「Incoherent Image」に変えて完全にインコヒーレントな像を作ります。
結果の像は、回折の影響により予期される一般的なボケは見られますが、コヒーレントな干渉は見られないということに注目してください。

添付ファイル:
Incoherent%20Image.gif
Incoherent%20Image.gif [ 20.42 KiB | 表示回数: 1377 回 ]


ここで「Data Type」を「Coherent Image」に変更すると、像の空間的干渉が、特に棒の角付近で明確に示されていることに注目してください。

添付ファイル:
Coherent%20Image.gif
Coherent%20Image.gif [ 19.04 KiB | 表示回数: 1379 回 ]



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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 12:05 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<パーシャルコヒーレント解析の実行>

さて、パーシャルコヒーレントの結果を見る番です。
始めに、0.0025といった小さいアルファ値で挑戦してみましょう。
アルファ値が小さい場合、生じるガンマ関数は狭く、結果はほとんどインコヒーレントとなることがわかっています。
「Data Type」を「Partially Coherent Image(Mostly Incoherent Method)」に変更し、「Alpha」を「0.0025」に設定してください。
結果の像は先ほど見たインコヒーレントな像にとてもよく似ていることに注目してください。
ガンマ関数が狭まれば狭まるほど、結果として現れる像はインコヒーレントになります。

添付ファイル:
Partial%200_0025.gif
Partial%200_0025.gif [ 18.71 KiB | 表示回数: 1369 回 ]


ここで、大きいアルファ値(0.1)で試してみましょう。
アルファ値が大きい場合、生じるガンマ関数は広くなることがわかっています。
そのため、結果はほとんどコヒーレントになります。
「Data Type」を「Partially Coherent Image(Mostly Coherent Method)」に変更し、「Alpha」を「0.1」に設定してください。
当然のことながら、生じる像は先ほど見たコヒーレントの結果によく似ています。
ガンマ関数が広くなればなるほど、結果として現れる像はコヒーレントになります。

添付ファイル:
Partial%200_1.gif
Partial%200_1.gif [ 17.59 KiB | 表示回数: 1371 回 ]


ここで、中間のアルファ値(0.01)を試してみましょう。
最初にガンマ関数を見てみましょう。
「Data Type」を「Partially Coherent Test: Gamma」に変更し、「Alpha」を「0.01」に設定します。
予想通り、結果は0.1のアルファ値のガンマ関数よりは狭いものの、アルファ値0.0025のガンマ関数よりは広いことに注目してください。

添付ファイル:
Medium%20Gamma.gif
Medium%20Gamma.gif [ 21.23 KiB | 表示回数: 1369 回 ]


画像から、ガンマ関数がこの像の20%以上をカバーすることは明確です。
よって、ここではまだMostly Coherent手法を利用します。
「Data Type」を「Partially Coherent Image(Mostly Coherent Method)」に変更してください。
結果の像には空間的干渉効果がはっきりと確認できますが、予想通りこれらの効果は先ほど「Alpha=0.1」の時に見たようなより広いガンマ関数のものほど顕著ではありません。

添付ファイル:
Partial%200_01.gif
Partial%200_01.gif [ 18.43 KiB | 表示回数: 1372 回 ]


下のGifアニメーションでは、3つの棒状光源の像解析がインコヒーレントからパーシャルコヒーレント、コヒーレントへと段階的に変化する様を表しています。

添付ファイル:
Animation.gif
Animation.gif [ 109.66 KiB | 表示回数: 1368 回 ]


<追記>
本例を読んで、アルファ値として0.0025、0.01、0.1 といった値が何故試されたのか不思議に思う方もいらっしゃることでしょう。
3つ下の記事にある通り、日本流のシグマ値とZEMAXで定義しているアルファ値の間には、
シグマ値=λ/(π・α・NAo)
の関係が概略成立します。
ここで、
λ は波長 (単位mm)
π は円周率
α はアルファ値
NAo は光学系の像側NA
です。

本例では、
λ=0.00048 mm
NAo=0.1
ですから、
アルファ=0.0025 はシグマ値 0.6 
アルファ=0.01 はシグマ値 0.15
アルファ=0.1 はシグマ値 0.015
に対応していることになります。


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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 12:08 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<サンプリングの問題>

正確なパーシャルコヒーレントの結果を求めるには、像のサンプリングを十分に行うことが重要です。
サンプリングが十分かどうかを検証するには、パーシャルコヒーレント計算で使われているPSFを見てください。
「Data Type」を「Partially Coherent Test: PSF」に変更し、PSFのゼロ以外の部分を拡大してください。

添付ファイル:
PSF.gif
PSF.gif [ 15.04 KiB | 表示回数: 1368 回 ]


このケースでは、PSFのゼロ以外の部分に表示される点が最低10個あれば、十分なサンプリングに達しています。
サンプリングが十分でなければ、「Oversampling」を増やしてください。

一般的にサンプリングが不十分な場合、PSFかパーシャルコヒーレント像を出そうとすると「Sampling Too Low, Data Inaccurate!」というメッセージが表示されます。

添付ファイル:
Low%20Samp.gif
Low%20Samp.gif [ 7.47 KiB | 表示回数: 1362 回 ]


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 記事の件名: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年6月19日(金) 12:11 
管理人

登録日時: 2008年12月02日(火) 10:33
記事: 119
<まとめ>

全ての光源が完全にインコヒーレントもしくは完全にコヒーレントというわけではありません。
中には光源が中間辺りに位置し、そのために部分的にコヒーレントなものもあります。
パーシャル コヒーレント像解析を使えば、部分的にコヒーレントな光源の像を作り出すことができます。
部分的なコヒーレンスの度合は、ガウシアンもしくはシンクのガンマ関数で特定されます。
ユーザーは解析で使用するガンマ関数の全幅をコントロールすることが可能です。
狭いガンマ関数を生む小さなアルファ値にはMostly Incoherent解析法を使い、広いガンマ関数を生む大きいアルファ値にはMostly Coherent解析法を使います。
正確なパーシャルコヒーレントを確実に求めるには、常にPSFのサンプリングが十分であるかを確認してください。


添付ファイル:
Partial_Start.zip [1.91 KiB]
ダウンロード回数: 93 回
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 記事の件名: Re: パーシャルコヒーレント像解析の方法
 投稿記事 Posted: 2009年7月09日(木) 13:55 
管理人

登録日時: 2008年8月01日(金) 16:40
記事: 596
<アルファ値とシグマ値の関係>


上記の通り、ZEMAX では複素コヒーレンス度「ガンマ」を像空間における複素点像強度分布で定義しています。
しかし、日本では複素コヒーレンス度「シグマ」を以下の式で定義する場合が多いです。

σ=NAs/NAo

ここで、
NAs は、物体空間における照明光学系のNA
NAo は、物体空間における結像光学系のNA
です。

そこでガンマとシグマの関係に興味が生じます。

これは、「ガンマは光源のフーリエ像である」という関係を使って求めることができます。

1. ガンマがガウス分布の場合
光源の強度分布もガウス型で、その強度の1/e のNAs は、
NAs=λ/(πα)
で表されます。
ここで、π は円周率、α はガンマ定義式中のパラメータα(アルファ)です。

2. ガンマがシンク関数で表される場合
光源の強度分布は正方形で、そのX方向およびY方向の NAs は、
NAs=λ/(2α)
で表されます。


以下は上記関係の検証結果です。

(条件)
理想レンズによる等倍結像系
λ=0.5ミクロン
NAo=0.05
ガンマはガウス分布

下図は、上記条件の場合の結像光学系のPSFです。
添付ファイル:
Airy.JPG
Airy.JPG [ 39.86 KiB | 表示回数: 1095 回 ]


下図は、σ=1 の場合のガンマです。
添付ファイル:
ganma.JPG
ganma.JPG [ 43.53 KiB | 表示回数: 1093 回 ]

両者の分布は異なるので厳密には一致しません。
しかし、たとえば1/e強度(37%強度)の半径は両者とも3ミクロンですので、両者の分布は近いと言えます。

次に、ZEMAXを使って5本バーチャートのパーシャルコヒーレント像を計算しました。
下図は120LPM、σ=0.25の例です。
添付ファイル:
PCIA.JPG
PCIA.JPG [ 44.18 KiB | 表示回数: 1099 回 ]


その断面強度分布は下図の通りで、中央3本バーのコントラストは46%です。
添付ファイル:
PCIA MTF.JPG
PCIA MTF.JPG [ 49.97 KiB | 表示回数: 1095 回 ]


σ値を変えて複数の周波数に対するMTFを計算した結果は下図の通りです。
添付ファイル:
MTF.PNG
MTF.PNG [ 16.87 KiB | 表示回数: 1090 回 ]


下図は、「回折と結像の光学」(渋谷眞人・大木裕史著。朝倉書店発行)p50に掲載されている図2.20「部分コヒーレントOTF」です。
添付ファイル:
book.PNG
book.PNG [ 9.04 KiB | 表示回数: 1084 回 ]


元の関数形が異なるので両者は厳密には一致しません。
しかし、両者が類似していることはわかります。
以上のことから、上の式は妥当だと考えられます。

検証に用いたZEMAXファイルを添付します。
添付ファイル:
Partial_Image.ZAR [487.66 KiB]
ダウンロード回数: 107 回


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